転職を検討するとき、もっとも重要になってくるのが「市場価値」。
ビジネスにおける人材の「市場価値」とは、一体何でしょうか。
どのようなもので、どのように測るのでしょうか。
この記事では、よく曖昧な意味で多用されているビジネスにおける「市場価値」について具体的に解説します。
「市場価値」は、転職について考えている人だけでなく、世の中の会社員全員が理解しておくべき概念です。
あなた自身の「市場価値」を正しく把握しておくことで、安心してキャリア形成できるようにしていきましょう。
市場価値とは
ビジネスにおける人材の市場価値とは、
「世の中の企業から見た、あなたに対する需要の大きさ」
のことです。
今あなたが会社から受け取っている給料や年収と思ってしまいがちですが、それは違います。
今もらっている給料は、勤務している会社が独自に評価した上で支払っているので、市場価値ではありません。
「給与テーブル」や「直属の上司からの評価」など、あなたが勤めている会社特有の事情が反映された結果で給料が決まるので、市場価値を測るには、そういった事情を排除して客観的な目で見る必要があるのです。
市場価値を決める3つの要素
あなたの市場価値は、大きく3つの要素を元に評価することができます。
- スキル・実績
- 価値提供をしてくれる人脈
- その業界の需要と供給
この3つの要素が高かったり貴重なほど、市場価値は高くなります。
要素①:スキル・実績
スキル・実績が市場価値を決める要素になることはイメージしやすいでしょう。
プログラミングのスキルやプロジェクトマネジメントの経験といったものが、この要素に該当します。
スキルは、ハードスキルとソフトスキルの2つに分かれます。
ハードスキルは、プログラミングスキルやデザインスキル、英語スキルといったように専門的な勉強や講習を受けることで、身につけることができる能力を指します。
ハードスキルの多くは、対応した資格制度が存在しており、客観的にそのスキルを保有しているかどうかを判断しやすいという特徴があります。
また、流行り廃りがあることもハードスキルの特徴です。
たとえば、パソコンやインターネットが普及し始めた頃は、パソコン操作やExcelなどの表計算ソフトの操作ができるだけで重宝されていましたが、今ではできて当たり前のスキルとなっています。
また、データサイエンス分野におけるプログラミング言語として有名だった”R”がありますが、Pythonという別言語の盛り上がりにより、現在Rを扱うスキルの需要は減少してるといった例もあります。
ハードスキルを身につける場合、トレンドや将来性も意識しましょう。
一方ソフトスキルは、問題解決能力やリーダーシップ、コミュニケーションスキルなど、ハードスキルと違って仕事を含めた人生経験全般によって身につく仕事を効率的に進めるための能力です。
参考になる書籍や講習もありますが、各ソフトスキル自体の定義が曖昧で、客観的に評価することが難しいもの。
一朝一夕で身につけることが難しい反面、身につけて世の中に評価してもらうことができれば市場価値は長期的に高くなります。
「スキル」というと、ハードスキルの習得を意識しがちですが、市場価値の高い人材として評価されるためにはソフトスキルが必要不可欠です。
ソフトスキルは、一朝一夕に身につくものでもないので、日頃からソフトスキルの習得も意識して、仕事を進めるようにしましょう。
そして、あなたにスキルがあることを証明するのが、仕事の実績や経験です。
ハードスキルには、保有資格によって証明することもできますが、そのスキルを用いた経験や実績があることで、市場価値を高く評価してもらうことができます。
「知っていることと、できることは違う」というように、どこでもそのスキルを使って価値提供できるという再現性の証明になるのです。
スキルや実績は、世の中の需要と供給によって市場価値が変わってくるので、特に転職を検討する際には、各スキルの最新の評価を確認するようにしましょう。
要素②:価値提供してくれる人脈
見過ごされがちな要素として、あなたに価値提供してくれる人材があります。
あなたが助けを求めた時に支援してくれる人は、社内外にどれだけいるでしょうか。
市場価値というのは、3つの要素で決まると述べましたが、3つの要素によって価値提供できる量と質が決まるのです。
価値提供の量や質は、あなた自身が動いて生み出すだけではありません。
いざというときにあなたを支援してくれる人がいれば、提供できる価値の量と質ともに高くなるため、あなたの市場価値も高くなるのです。
人脈もソフトスキルと同様、一朝一夕に手に入るものではありません。
日頃仕事をする中で、社内の人間関係や取引先など社外の関わった人たちに対して、価値を提供することで信頼が貯まっていき、価値のある人脈が形成されていきます。
自分の仕事の成果を追求するだけでなく、関わった他者の成功も支援できるように常に意識していきましょう。
要素③:その業界の需要と供給
「業界の需要と供給」とは、その業界や企業が世の中に対してどんな価値を生み出していて、世の中がその価値をどの程度必要としているのかという指標です。
たとえば、同じ経理業務をしている人でも、衰退していっている業界で働くのと、成長している業界で働くのとでは、給料が異なります。
会社は、得た収益の中から給料という形で従業員に支払うので、当然収益性の高い業界や企業の方が給料も高くなります。
業界については、一見するとあなた自身の市場価値と無関係のように感じますが、そうではありません。
人事や経理のような、どの業界でも横断的に活躍できそうな職種でも、業界それぞれの特色があります。
業界ごとに必要な人材要件の特徴や、業界特有の商慣習の理解が不可欠だからです。
あなたが働いている業界が、時代のニーズに合っているか、世の中から求められているか、今後の成長性が見込めるかという点でも意識しておくと、市場価値をより正確に測れるようになります。
自分の市場価値を知る方法
市場価値は、客観的に測る必要があります。
そのため、あなた自身で測ることができません。
市場価値を正確に測るためには、世の中の人材の需要と供給に熟知している他者の目で測ってもらうしかありません。
具体的には、転職エージェントのキャリアコンサルタントに相談することが、あなたの市場価値を知る最適な方法です。
転職エージェントであれば、あらゆる業界の人材要件に精通しています。
転職エージェントは、あなたのキャリアやスキルをヒアリングした上で、どの業界で求められていて、どのような活躍ができそうかアドバイスすることができます。
あなたの市場価値を測るために、どのようなスキルや実績があり、これまでにどのような人脈を築いてきたのか整理した上で、転職エージェントに相談してみましょう。
市場価値の上げ方
市場価値が分かったら、将来転職を検討したくなった時のためにも、できるだけ高めておきたいですよね。
あなたの市場価値を上げるためにまずやるべきことは、現在従事している仕事で経験を積み、実績を残すことです。
大切なのは、日々仕事をする上で
「この仕事を経験して実績を積めば、自分の市場価値にどのような影響を与えるのか」
「市場価値を最大化するためには、この仕事を通じてどのような実績を作るべきか」
ということを常に考えて取り組むこと。
そうすることで、本業の仕事以外に特別なことをしなくても市場価値を上げていくことができます。
今の仕事の延長線上に、目指す市場価値の姿が無いのであれば、必要な別のスキルを磨くようにすれば良いです。
また、転職で今と同じ仕事ができる職種のまま、伸びている業界に身を移すのも効果的です。
業界の需要と供給でも説明したように、同じ仕事をする場合、成長している業界で実績を積む方が給料も上がり、市場価値としても高くなります。
市場価値は、客観的な数字として見えるものではないので、その時の給料がひとつの評価基準になります。
そのため、同じ仕事をしているのであれば、高い給料をもらっていた方が、将来的な市場価値は高くなっていく傾向にあるのです。
まとめ
ビジネスにおける人材の市場価値は「世の中の企業から見た、あなたに対する需要の大きさ」を指します。
市場価値を決定する要素は、大きく分けて3つ。
- スキル・実績
- 価値提供をしてくれる人材
- その業界の需要と供給
これら3つの要素を整理し、あなたの市場価値を正しく測るためにも、一度転職エージェントに登録してキャリアコンサルタントに相談してみるのがおすすめです。
転職を具体的に考えていない場合でも、転職エージェントにキャリア相談することは可能です。
転職にリスクはつきものですが、転職エージェントを利用した転職活動はノーリスクです。
あなたの市場価値を正しく把握して今後のキャリア形成に活用するために、積極的に転職エージェントを活用していきましょう。